2016 チャレンジ富士五湖 118km完走記 ~ レース編その④
90㎞~FINISH・・・苦しさの果てに
グリコのワンセコンドのおかげで、86.8㎞地点の本栖湖県営駐車場以降、復活した私。
しかし、98.9㎞の西湖公民館の関門の少し手前で、再び息苦しさを感じるようになってしまった。
残念ながら、ワンセコンドの効果は、10㎞ぐらいしか持続しなかったようだ。
精進湖駐車場で私設エイドを出し、その後も、本栖湖で応援してくれた仲間達が、再び西湖公民館の関門近くで、私に声を掛けてくれた。
しかし、いっぱいいっぱいだった私は、なかなか彼女達に気付くことが出来なかった。
「何がほしい?」と訊かれても、頭が思うように動いてくれず、一体どのように応えたのか・・・正直よく覚えていない。
また、その場で差し入れてもらったものも、本当に申し訳ないのだが、記憶にない。
ただ、西湖公民館のエイドでは、信玄桃を2切れ頂いたのを覚えている。
甘いものを食べたことで、少し意識がはっきりして、再度のろのろながらも走り出すことが出来た。
100㎞の通過が、自分の時計では11時間59分21秒。
もともと西湖公民館の関門(98.9km地点)を12時間ぐらいで通過することを考えていたので、ほぼ予定通り。
上で、「自分の時計では」と書いたのは、チャレンジ富士五湖の公式HPに掲載されている「確定リザルト」によれば、私の100㎞の通過は11時間36分25秒となっているからだ。
この記録には、大きな違和感がある。
100㎞の表示を見た時に、「予定通り」と思ったことはよく覚えているし、また、あの状況で、10㎞を1時間5分ちょっとで走れたとは到底思えない。
既に「確定リザルト」とされているものの、公式HP上の私の100㎞通過タイムは正しくないと思われる。
西湖公民館のエイドで、カフェイン入りのPOWERGELを摂取。
このPOWERGELは、昨年のホノルルマラソンのEXPO会場で買ったもので、カフェインが通常品の2倍入っているものだ。
カフェイン2倍は、恐らく日本では非売品だと思う。
本栖湖のエイドでカフェイン入りのワンセコンドを飲んで復活したので、カフェイン入りのPOWERGELだったら、効果があるかもしれない・・・と淡い期待があった。
しかし、残念ながら、ワンセコンドと同様の効果は得られなかった。
辛さは増すばかりだったが、何とか103.9㎞の足和田出張所のエイドに到達。
再びDNSのパワーゼリーを頂く。
そこで、思い出したのは、レース2日前の夕食時のだんなとの会話だった。
あの時の第一声が、「遅い!」だもんな。
こっちは、時間内にフィニッシュしようとして、一生懸命歩いて来たのにさ。
ゴールして最初の一言が、「お疲れ様」でも、「良かったね」でもなく、「遅い!」だなんて、全くひどいよ。
俺だったら、○○ちゃん(=私)が無事ゴール出来たら、どんなに時間がかかっても、「遅い!」なんて言わないよ。
どんな思いで、だんながラスト30㎞、ゴールを目指して歩いたのか。
やっとの思いでゴールに辿り着いたところで、妻にかけられた言葉が「遅い!」だったなんて・・・
118kmを制限時間15時間内に完走するということが、どんなに大変なことなのか。
自分の身をもって経験してみて、私がだんなに対していかにひどいことをしてしまったのか、よく理解出来た。
色んな思いがグルグルと頭の中を回り、一人号泣した。
50のばあさんが人前で泣くなんて、みっともない。
しかし、気持ちを抑えることが出来なかった。
ひとしきり泣いて、再び走り出した。
フィニッシュしたら、だんなに謝ろう。
立ち止まっている時間は、もうなかった。
河口湖を走る私。
ペースはガタ落ちだったが、100㎞を超えても、まだ走っていた。
河口湖畔に別れを告げ、道を左に折れると、大きな道へ出る。
ここから終盤の上りが始まる。
110㎞の通過タイムは、富士五湖の公式サイト掲載の確定リザルトによれば、13時間7分。
こともあろうに、自分の時計で110㎞のラップを取り忘れてしまったので確証はないが、どうもこのタイムにも違和感がある。。
とにかく、110㎞時点で、ここから歩きを交えても、制限時間内にフィニッシュ出来ると確信したことは確か。
110㎞以降のだらだらの上り坂では、歩いたり、走ったりを繰り返し、前に進んだ。
そして、ついに最後の関門(113.1㎞)の河口湖ステラシアターに到着。
レース前、14時間ぐらいでここに着いていたいと思っていたが、実際には、13時間55分ぐらいで到着したと記憶している。
ほぼ予定通り。
1時間ちょっとで残り5㎞を行けば良いので、だいぶ精神的に余裕が出来た。
本栖湖のエイド(復路)で、「あまりのんびり休憩するな」と警告してくださったボランティアの方に感謝。
ステラシアターを出ると、急に坂の傾斜がきつくなる。
周りを見ると、歩いている人がほとんど。
私もてくてくと歩いた。
もはや上り坂を走る力は残されていなかった。
坂を登り切ると、残り2㎞からは下り坂になる。
下り坂ぐらい走りたかったが、もう下り坂すら走ることが出来なかった。
左折すると、富士北麓公園の競技場が見えた。
沿道から、「お帰りなさい!」、「お疲れ様!」と声が飛ぶ。
本当にうれしくて、ありがたくて、ボロボロと涙が流れた。
沿道からの声援に背中を押されて、競技場に入る直前に走る気力が出て来た。
よろよろだったけど、ヴィクトリーランだ。
競技場の入り口で、先にフィニッシュしているはずのだんなの姿を探すが、見つからなかった。
競技場に入ると、すぐにだんなと応援してくれた仲間たちの姿が見えた。
そして、だんなと一緒にゴールへ!
フィニッシュ後、だんなに「昨年は、本当にひどいことを言ってごめんなさい」と謝りながら、号泣。
こんな姿まで、写真に撮られてしまった(^_^;)
ボランティアの方にタオルをかけてもらい、完走メダルを頂いた。
ずっしりと重いメダル。
14時間44分35秒。
私の50年の生涯で一番長く走った日が終わった。
自分のマラソンは終わったが、あとひとり、仲間のゴールを待っていた。
往路、足和田出張所で声を掛けてくれた、グループトライアルで同じチームを組む仲間だ。
私が無事ゴールに辿り着くことが出来、彼女以外のチームのメンバー全員が既にフィニッシュしていた。
15時間の制限時間まで、あと1分ちょっとというところで、彼女が競技場に現れた。
制限時間まで、あと1分20秒と言うところでのフィニッシュ!
これで、チーム全員が完走!
苦しい思いもしたが、最後には最高の一日となった。
~続く
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